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日記Diary

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2015年2月1日(日)
「イスラム国」とどう向き合うか?

今朝になって,湯川遥菜氏に続いて後藤健二氏も「イスラム国」によって殺害されたことがほぼ確実となった.日本の新聞記事や政治家たちの発言は,これらの方々への無条件の同情に満ちている.しかし,私の意見は少し違っている.これらの2人は,外務省の制止を振り切ってトルコからシリアに入っており,そこで「イスラム国」に囚われたのだ.これは,はっきり言って,自己責任を自覚した行為の結果である.とくに,後藤氏は出かける前に,「どんなことが起きても,それは私自身の責任です.」という発言の入った画像まで残している.そういうことを言っても,一旦「イスラム国」に囚われると,わが国にどれだけの迷惑がかかるかを,彼らは考えなかったのだろうか? 私は,この点にもっと注意を向けることが必要だと思う.国家は自国民の安全に責任をもっているとはいえ,このような身勝手は人たちに振り回されることはあってはならない.
 今度の事件を通じてハッキリしたことは,「イスラム国」に対しては,味方になるか敵方になるしかないということだ.中立ということはあり得ないのだ.それは「イスラム国」が拒否している.この点をわれわれ日本人は十分理解しなければならない.マホメット以来,イスラムは支配圏をこういう厳しいやり方で拡大した.今「イスラム国」はその昔のやり方を復活させようとしているのだ.西側世界はもとより,ロシアや中国も厳しい立場に立たされつつある.今後,「イスラム国」が勢力を拡大することになると,世界は中世に逆戻りしかねない.今年は,そうなるかどうかのturning pointの年だと思う.

2015年1月11日(日)
第2の9.11

残念ながら,今年になっての初めての日記は明るいものでない.今月7日にパリで起きた,風刺記事を主に書いている新聞のシャルリー・エブド(Charlie Hebdo)をイスラム過激派の2人が襲撃して,編集会議中だった人たちのうち12人を一挙に死亡させた事件は,フランスはもとより世界中を震撼させた.ほぼ同じ時間に,もうひとつの事件も起きており,そちらでは女性警官が襲われて亡くなった.そちらの犯人はひとりだったが,他に関係のある女性がいるらしい.結果としては,どちらの事件の犯人(計3人)も警察に射殺されたが,第2の事件ではまったく無関係の人たち4人が犯人に殺された.
 これらの事件は,イエメンにあるアルカイダ系のイスラム過激派が後ろで糸を引いていたことが明らかになりつつある.これらの事件での死者の数は,2001年9月11日にニューヨークで起きた事件よりもずっと少ないが,本質的な面では共通点を持っていると言ってよいだろう.だから,パリで起きた今回の事件は第2の9.11だと思う.
 現在のヨーロッパの人口の10%近くはイスラム教徒だと言われている.しかし,ヨーロッパ各国をはじめ,アメリカ,カナダ,オーストラリア,ニュージーランドなど西側各国はキリスト教の伝統をもつ地域だから,この地域とイスラムとの関係は,これまでよりも複雑なものになるだろう.イスラムはアフリカから中東を経て,マレーシア,インドネシアにまで広がっている.その中にあるインドはヒンズー教が圧倒的な力をもっているが,イスラム教徒も5千万人以上居るとされている.
 現代においては,キリスト教の力は減退しつつあるのに対して,イスラム教は逆に力を強めているように見える.これは何故だろうか.あるいは,これは単に過激派の活動が目立っているからだけのことなのだろうか.千数百年も前に生まれた一宗教が現代に力を持つというのはわかりにくいことだ.「信じる」ということは論理的な行為ではないから,こういうことが起こるのだろうが,わかりにくいことには変わりはない.
 日本においては,イスラム教徒の数は極めて少ない.カトリックとプロテスタントを合わせたキリスト教徒の数も人口の1%に届かないのではないか.政治的には日本は西側に属しているが,イスラムとの対立に巻き込まれないようにしなければならない.日本に比べると,イスラム教徒をずっと多数抱えている中国の動きにも注意することが必要だと思う.


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