私が,過去約3年間で一番時間を使ってきたことは,「赤外分光測定法―基礎と最新手法」というタイトルの本を編集して出版することだった.その本が先週ようやくでき上がり,実物が昨日私のところに届いた.本当にヤレヤレという気がした.
何故この本の出版にこだわっていたかというと,20年ばかり前に私の編著で出版した本が10年以上前に絶版になり,その後同じ種類の本が出ていなかったからだ.需要はあるのだが,その数がある程度以上でないと,今では出版社は引き受けなくなっている.つまり,専門性が高い本を出版することは難しくなっているのだ.今回出した本は専門書ではあるが,そのレベルは初心者向きで,いわば教科書である.それでも通常の形での出版が難しくなっている.残念ながら,これが今の日本の現状だ.
本にする前の段階として,日本分光学会という小さいながらも社団法人(もうすぐ公益法人になる予定)の学会の機関誌「分光研究」に,講座として2年間13回にわたって連載した.これには,私も含めて16人の執筆者が関係した.この講座に手を入れて合冊したものが,今回出版した本だ.出版したのは,赤外分光に関係した製品を取り扱っているエス・ティ・ジャパンという会社だ.
いろいろなことを乗り越えて,2,500冊という相当な冊数を出版できたことを心から喜んでいる.
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